一次独立と直交

高校数学の少し発展的な内容でテイラー展開というのがある。これは「関数を多項式関数で近似する」というものである。これと似た話で、「関数を三角関数で近似できないか」というのを考えたい。それを説明する前に、少し線形代数に関する知識を準備をしたい。(紹介するのは、線形空間の基底、一次独立、内積についてです。)

 

高校数学の教科書で見た、二次元の座標平面を思い出してみよう。

 

e_1 

e_2 

という二つのベクトルを用意する。

条件①:二次元座標平面上のどんな点(X, Y)も、

 

(X, Y) = Xe_1 + Ye_2

 

と、「この二つのベクトルをそれぞれ何倍かしたやつの和」で書ける。

 

条件②:「Ae_1 + Be_2 = 0としたとき、A = B = 0」が成り立つ。

 

このような条件①、②を満たすe_1, e_2(のセット)を、二次元座標平面の基底という。

 

基底の取り方は

(2, 0)と(0, 3)

(1, 1)と(-1,1)

などと、いろいろある。

 

一方、高2ぐらいになると「ベクトルの内積」というのを習うと思う。二つのベクトルの内積は「各成分をかけた数字を足す」と求まる。特に内積が0になると、その二つのベクトルは直交するという。

(1, 0)と(0, 2)の内積は0になるので、これらは直交している。

(1, 1)と(-1,1)も内積が0なので直交している。

 

ここで、二つの(0でない)ベクトル x, y が直交しているとすると、これらは基底になることがわかる。(証明は別に読まなくていいです)

pf)

Ax + By = 0とすると、

「Ax + By と x」

「Ax + By と y」の内積を考えることでA = B = 0がわかる。(内積の線形性を使用)

よって条件②を満たす。

 

一方xとyで生成される部分空間{Ax + By | A, B ∈ ℝ}は次元(その空間の基底の個数)は2、また{Ax + By | A, B ∈ ℝ}は二次元座標平面の部分空間なので、この部分空間そのものが二次元座標平面。

よって条件①も満たす。